旗のコンシェルジュ×旗のスペシャリスト(京都旗工場 工場長)

旗のコンシェルジュ×旗のスペシャリスト(京都旗工場 工場長)

INTERVIEW

旗のコンシェルジュ×旗のスペシャリスト(京都旗工場 工場長)

当店はこれまで代々校旗を大切にされてきた方々の想いを継いでいきたい、
こだわりのあるものを作りたい、というお客さまのご要望にお応えする高級校旗の専門店です

 

今回、1枚の校旗を制作するにあたりいったいどのような工場で作られていて、どのような想いで校旗を作っているのか「極-校旗-」の旗工場にてインタビューしてまいりました

 

 

A:旗のコンシェルジュ(写真右)
旗の制作に関わり25年、幼稚園、保育園の園旗から小・中・高・大学の校旗、更にはスポーツ・応援の旗も手掛けてきた旗のコンシェルジュ。お客さまの想いを懇切丁寧にお伺いして形にすることを得意とする

 

B:旗のスペシャリスト(写真左)
創業130年の京都にある旗工場の工場長
熟練の職人を束ね、伝統を受け継ぐ大切な校旗を心を込めて制作している

校旗作りは職人技の終結

お客さまのニーズに合わせて職人を選べることが強み

お客さまのニーズに合わせて職人を選べることが強み

(A)
こちらの旗工場は明治20年創業で約130年の歴史があるとは、本当に素晴らしいですね。京都には旗工場がたくさんあるようですが、京都という土地柄ならではの旗工場の伝統や特徴はあるんですか?

 

(B)
昔からの職人さんがそのままおられるということはとても大きな特徴だと思います。「染め」の工程でいえば、下絵屋さん、染め屋さん、蒸し屋さんも全部この辺にあって、一つの産業になっています。うちの場合、染めは染め屋さんに委託するんですが、自分のところで完結している染め屋さんもあれば、いろんなところを使って仕上げる染め屋さんもおられます。

 

染め屋さんは何軒もあって、それぞれ得意分野が違うんですね。「正絹の一枚ものやったらここが上手い」とか、「画像の顔料やったら任せてよ」「ポリエステルならここしかない」というように、いろいろな染め屋さんがあるので、お客さまのニーズに合わせて職人を選べることが強みです。

 

(A)
そういう選択ができることはこういう環境でしかできないですよね。

 

(B)
そうですね、例えばうちがほかの土地にあったらそこまで深く知らないでしょうし、それぞれの職人さんとのやり取りが早くできますからね。昔からこの土地には職人さんが多いんですよ。自転車で行ける近所に技術力の高い工場が集まっているので(笑)、「今日の夕方に取りに行きます」と行ってそのまま仕立て屋さんのところに旗を持っていくこともできますし、それも一つの地元で旗を作れるメリットやと思います。

 

(A)
明治の創業当時から周りの職人さんと一緒に製造してきたんですか?

 

(B)
うちの初代はもともと染め屋さんに丁稚(でっち)に行っていて、そこからのれん分けをしてもらったんです。なので、出は染め屋さんなんです。当時、旗屋というものがなかったので、旗に特化した会社を作ろうということで旗屋を始めました。

 

その当時は「のぼり」の発注が多かったみたいです。お店ののぼりもそうですし、創業から少し後の話ですと戦争に行くときののぼりなどが写真に残っていて、そういった発注が多かったようです。

 

(A)
工場長は現在5代目ですよね。刺しゅう屋さんや染め屋さんも、同じように代々継がれているものなんですか?

 

(B)
そうです、そうです。この辺りは完全分業ですからね。全ての職人さんの受け継がれた技が合わさって校旗になるんです。

 

「親から子に、師匠から弟子の従業員さんに」でしょうね。そこは伝承です。
受け継ぐだけでなく、新たに技を開発している人もいます。

 

例えば刺しゅう職人にしても、うちのミシン刺しゅうの職人さんがそうなんですが、常に新しいものを開発しているんですよ。もう80歳以上なんですよ。まねをされると困るので私たちには一切詳細を見せてもらえないんですが、うちの技術でできる幅は少しずつ広がっていますし、質も向上しています。ミシンはコンピューターにデータを取り込んで自動で縫うのではなく、下絵を描いて手作業で縫っているんですよ。本当に職人技です。

「継いでいく」その意義を大切にする人へ

「継いでいく」その意義を大切にする人へ

(A)
こちらの旗工場は昔から校旗や会旗を作られていますが、校旗というものの意義をどう捉えていますか?

 

(B)
シンボルとして大事なこともありますし、やはり継いでいくものでもありますよね。こういうものを大切にされる方は当然おられますし、そういう方がこだわりのある旗をオーダーしていただいたときは、よりいっそう頑張ろうという気持ちが湧いてきますね。

 

(A)
校旗のオーダーが入るときは、既存の校旗が古くなって作り替えることや、校旗が無いから新しく作るということもあると思います。校旗というのは「昔からの校旗を継いでいく」「これから新たに継いでいく」という大きな目的があるように思います。

 

(B)
そうですね。特に「何周年記念」などに新しく買いはるケースが多いです。

 

(A)
なるほど。例えば50周年の学校が校旗を新調するときなんかは、今までの立派な校旗があるので今度も立派なものを、という思い入れはやはり強くありますよね。

 

(B)
そういう方はやはり前の校旗も大事にされていますからね。既存の校旗から作り替える場合は、従来のデザインや刺しゅうを大事に踏襲して作ります。

納めたときには「わー、素晴らしい!」などの感想をいただきます。期待以上のものを納めることは意識していますね。

 

(A)
職人さんは直接お客さまとお話する機会があまりないと思いますが、発注時の思いや納品後のお客さまの喜んだ顔を職人さんに話すことはありますか?

 

(B)
極力伝えるようにしています。でも職人さんは恥ずかしいのか、職人が喜ばれるものを作ることは当たり前やと思っているのか、「すごく喜んでくれましたわー」と伝えても「そうか、そうか」って、職人らしい薄いリアクションですね(笑)

「どこよりもいいものを」という発注も

「どこよりもいいものを」という発注も

(A)
今まで納めた校旗の中で、印象的なエピソードはありますか?

 

(B)
「どこよりもいいものを作ってほしい」と言われたことですね。最初に「生地はこんなものがあります」とサンプルを見せたら、「それよりいいものはないですか?」ということでご予算を聞いたら「予算は気にしなくていいよ」と。そこで、人間国宝の職人に技を教えていた師匠に生地を織ってもらいました。1日2~3cmずつしか織り進められない生地です。生地も刺しゅうも、何から何まで全て凝りましたね。

 

(A)
生地を一から織って校旗を作るなんてことは、ほかの旗屋さんではなかなかできないことだと思います。私自身も旗の発注を受けるときに生地から織ってほしいというオファーが今までになかったので、カタログからお勧めしていました。お客さまも生地から要望できるということを知っているケースは少ないかもしれません。生地を織るところから作るというこだわりは本当にすごい!

夏の甲子園の優勝旗を現在制作中ですよね。甲子園の優勝旗も職人さんが一から織るんですか?

 

(B)
もちろんそうです。甲子園の優勝旗は別格ですね。
職人が木製織機を使い、足でペダルを踏んで縦糸を動かしながら、1本1本丁寧に織って制作をする「つづれ織り」という技法で織りあげられます。日本を代表する大優勝旗には多くの方の夢が詰まっていますので一丸となって取り掛かかっています。

大事な旗だからこそ、修理も親身に

大事な旗だからこそ、修理も親身に

(A)
旗の修理はできますか?

 

(B)
できます。修理する際はいったん全部のフレンジをほどくんですよ。仕立てを全部ほどくので、それに耐え得る状態であれば修理できます。古すぎて弱くなっているとできないときもあるので、その場合はフレンジを新しく用意させてもらうなどの対応をしています。状態を見て見積もりを立てています。

 

(A)
私は旗の修理ができる旗屋さんが少ないと思っていて。そう考えるとこちらの環境は近くにいろんな職人さんがいるのでとてもいいと思います。一般的には旗屋さんが工場を持っていても1~2軒程度で、そこで対応できなかったら中国などに委託して、その分時間も掛かりますし。

 

(B)
フレンジをほどくだけでも手間が掛かりますからね。旗はシンボルであり、継いでいく重要なものなので、状態を見て既存の旗を大事に生かすべきか、新調すべきか正直にお伝えして、旗の持ち主と共に旗への「想い」を共有しています。